工期や粗利が荒れ、クレーム続出

投稿日:2021年01月05日

 

 

一人親方の工務店から成長し、10~15棟規模の工務店がぶつかる壁

 

「当初予定していた工事期間よりも大幅に長引いてしまい、監督が他の現場を見られずに着工できない。」

「着工前に実行予算を組み適切な利益を取れるはずが、完工すると大赤字物件に…」

 

一人親方から独立し、組織化し始めるとぶつかるフェーズです。

 

一人親方時代の年数棟の場合は、経営者がすべての現場に目が届きます。

そのため、起きうるトラブルを未然に防ぐことができ、それほど大きな工期ズレや粗利の狂いは起きません。

しかし、10棟を越え、1人だとちょっと大変だなと感じ、人を入れ始めるとこういったトラブルが頻出してくるようになります。

 

人がいればもっと目も行き届くはずですし、一人あたりの仕事量も減るはずなのにこういったトラブルが起きてしまう。結果まだ1人でやっていたときのほうが利益が出ていた…なんてこと。

 

どうしてこういった事が起きてしまうのでしょうか?

原因と対策について3つのポイントから見ていきましょう。

 

 

 

1:経営者がずっと前線にいる


年間十数棟の工務店では、ほとんどの経営者が前線にいます。経営者兼トップセールス兼設計士なんてことは当たり前。元も子もないお話ですが、だからトラブルが起きるのです。

 

多くの経営者は、自分ができることは「当たり前に他の人もできる」と思い込んでいる方がほとんど。つまりは基準が「自分」になっています。

経営者になっている人の多くは、もともと仕事ができ、更に上を目指そうと独立した方おおいでしょう。つまりは知らずに求める基準が高くなっているのです。

 

社長1人の無名の工務店にそんな仕事のできる人が来るでしょうか?そんな企業で最初に採用できるのは、よほどの変わり者か、他での仕事が務まらなかった人。そんな人物しか採用できません。

 

その人物でも仕事ができるような仕組みを作ることが、人を採用した経営者の次にするべき仕事になってきます。

 

 

2:ルール・金額・工期を勝手に変える


一人親方時代は当たり前ですが、全てを自分で決めることができます。そのため、多少工期が延びようが自分でいくらでも調整ができるし、値引きの許容範囲も自分の裁量で決めることができます。

 

つまりは、全て最初に想定できるからこそトラブルにならないのです。

 

一人のときは、当然ルールなど必要ありません。経営者の決めたことがそのままルールです。

お客様ごとにルールが変わったとしても、それを社長が承認しているから問題ないのです。

 

ですが、人を採用しスタッフが工期や販売価格を勝手に変更していたらどうでしょうか?必ずトラブルに発展します。つまりは想定外の事が起きてしまう。

だからこそ、契約までのルールや引き渡しのルール、販売価格や標準工期などをしっかり決めておくことが重要です。

 

そしてもう一つ。

この決めたルールを真っ先に破るのが経営者です。一人でやっていたときの感覚が抜けず、勝手にイレギュラーを作ってしまう。そして次の物件でも、またその次の物件でもイレギュラーが発生する…。

そんなイレギュラーばかりをつくる経営者を見てスタッフはどう思うでしょうか?

 

「あっ、ルール守らなくていいんだ」

 

と、勝手に解釈します。その結果、決められたことは守られなくなり、トラブルに繋がる。

そんな悪循環を起こさないために、経営者は率先してルールを守る。そしてスタッフがルールを守っているかをチェックすることでトラブルは起きなくなっていくはずです。

 

 

 

 

3:スタッフに仕事を渡せない


最後のもう一つのパターンとして、経営者が2のパターンを恐れ仕事を抱え込んでしまうケースです。

 

年間十数棟規模になってくると、一人で案件として抱えるのはしんどくなってきます。だからこそ人を採用するわけです。ですが採用できる人は有能でない場合がほとんど。

そんな人に仕事を渡すよりも当然自分でやったほうが何倍も仕事が早くミスもありません。結果、経営者が全ての仕事を自分で抱えてしまう状況に陥ってしまいます。

 

そんな経営者は、「人を雇ったわけだから今まで以上に頑張らないと…」と、強い責任感を持っており、更に一生懸命に働きます。

すると当然限界を超えます。限界を超えるとミスが出はじめ、トラブルが起きます。その自分が起こしたトラブルにイライラし、クレーム処理のために一番遅くまで仕事をしている。

 

その姿は、スタッフの目にどう映るでしょうか?「社長頑張っているな!すごい!」とはなりません。

 

「この会社こんなに必死に頑張らないとやばいんだろうか?」

「社長が忙しすぎて話しかけにくい…次なんの仕事したらいいんだろう…」

 

スタッフはこんなふうに思っています。そして「辞めます」と、言われるまで、微塵も気づけていないのです。仕事に一生懸命になりすぎて、他に目を向ける余裕がなくなっているということです。

 

いくらルールを決めたとしても、スタッフは全ての仕事ができるわけではありません。

わからないことは相談したいのです。スタッフがいつでも話しかけやすい状態になっていることも重要なのです。

 

 

 

 

以上、一人親方から独立し、組織化し始めるとぶつかる壁を3つの点から解説させていただきました。

 

一番のポイントは「経営者が現場を離れること」です。

 

経営者が前線にいる場合、成長は年間30棟前後で止まります。

あえて止めている場合と、成長を目指してた結果として停滞した場合とがありますが、上の規模を目指すならば、経営者は必ず現場を離れなければなりません。

 

そうしないと、経営者としての視座が上がらず次の戦略を打てないためです。

 

 

上への成長を目指すならば「脱現場」を目指していきましょう。

 

お客様のために良い商品を販売し、利益を出していく。

そして工務店が永く続いてくれる事。それが最大のお客様サービスにつながるのです。

 

 

 

 

 

貴社は経営陣が現場にどっぷりではありませんか?

 

 

・採用しても辞めていく
・厳しくすると辞めてしまうのを恐れて指導できない
・仕事のルールが曖昧

・各スタッフの動きが把握できていない
・自分だけが忙しく頑張っている気がする…

 

 

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2021年1月5日 投稿|     

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